「ビタミンAは代謝しない」
と考えると臨床上はうまくいく

このビタミンAの代謝図(図1)はどこかでご覧になられたことがあるのではないでしょうか(エンビロンさんの資料より抜粋)

この図の示すところは、皮膚の中には様々な形でビタミンAが存在し、それぞれの間には自然な相互作用、相互代謝による変換があることを示しています。

 

この図から考えると、守りのパルミチン酸レチノールでも多く塗布していくと、⇒レチノール ⇒レチノイン酸(トレチノイン)と皮膚の中で変換されていくこととなります(図2)。

ということは、パルミチン酸レチノールを多く塗ると変換が進み、レチノールやレチノイン酸(トレチノイン)が果たす同様の効果が得られてくると考えがちになりますが、そこに大きな落とし穴があります。

例えば、レチノールの効果を期待してパルミチン酸レチノールを多く塗布しても、似た効果が得られるには程遠く、またレチノールを多く塗布し、レチノイン酸(トレチノイン)への変換を期待してトレチノインと同じ反応がでるまで強く使用してしまうと、レチノイン酸(トレチノイン)単体使用ではなかった皮膚炎や色素沈着が起こったりと、弊害の方が大きくなってきたりします。

よって実際の治療では、理論上の事を思い切って無視して、「ビタミンAは代謝されず相互の変換はない」と考えた方が、上手く治療を進めることができます。

それぞれのビタミンAには、個々特有の効能と特徴と、おいしいところが狙える最適な使用法があり、臨床上はすべて全くの別物とお考え頂くと、正しい使用法に繋がっていくと思います。

また、同じ種類のビタミンA製品の中でも、製品ごとに別物と捉えて下さい。

例えばレチノール製品。
濃度が同じであっても、ベースの基剤、浸透システムの違いにより、効果も弊害の程度も違ってきます。
またレチノールは、レチノール複合体としての原料の濃度で書かれることも多く、この場合は純粋なレチノール濃度を反映していません。
また、海外製のレチノール製品は、実際には表記濃度よりも3割ほど低い濃度であったことがほとんどでした。

このように、濃度表記だけでレチノール製品を比べることは、意味あることにはなりません。。

さらに、「レチノール」という言葉は誤解を招きやすい言葉で、○○レチノール類のすべてをひっくるめての総称として表現されていることもあれば、レチノールという成分名として表記されていることもあります。

 

またピュアレチノールというのは、成分名としてのレチノールと全く同じもので、名前のつけられ方が違うだけとなります。
各種ビタミンAにはそれぞれに特有の効果と役割があり、その特徴のみを目的とし、すべて別物とお考えいただくと、正しい使用法につながっていきます。

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